おもてなしフェスティバル2024開催報告

開催概要

「おもてなしフェスティバル2024」が2024年11月15日(金)、三井情報株式会社の会議室をお借りし、Zoomを活用したハイブリッド形式で開催されました。
スポンサーとして、ジェネシスクラウドサービス株式会社、株式会社イットーソフトウェア、テクマトリックス株式会社の3社にご協力いただきました。


COCでは、おもてなし(=顧客が求めていることを自ら引き出して、提供しようと努力した結果、顧客との会話に変化や余韻が残った事象)に合致したと思われる実音声の個人情報を削除して頂き、ご応募(エントリー)頂いております。
今回は、株式会社SBI新生銀行、プレミアムウォーター株式会社、株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ、株式会社コンシェルジュ、株式会社SBI証券の5社にエントリーいただきました。全国各地のコンタクトセンター業界のリーダーや専門家、そして現場で活躍するコミュニケーターの皆様が集まり、「おもてなし」の理念と実践を共有する有意義な一日となりました。

COC代表理事 斉藤の挨拶で幕を開け、続いてCOC理事 秋山による「おもてなし診断」の概要とその最新動向についてのプレゼンテーションが行われました。
続いて、おもてなしが出来たコールとそのコミュニケーター(おもてなしREP)の発表と表彰式が行われました。


今年もおもてなしREPのほかに、敢闘賞と入賞が選出されました。表彰式では、受賞者に賛辞が贈られ、会場には温かい拍手が響き渡りました。受賞者たちは表彰状とあわせて副賞としてスポンサーから豪華なプレゼントも贈呈され、大いに盛り上がりました。


COC理事 大西より電話応対内容の診断基準や評価ポイントについても詳しく説明され、参加者にとっての学びの機会を提供しました。その後、プライバシーに配慮するかたちで「おもてなしREP」に選ばれた応対ログが共有されました。お客様との信頼関係を築くことに成功しており、そのプロセスが高く評価されました。参加者は、実際の応対音声を聞くことで、具体的な成功要因や改善点を学ぶことができました。

惜しくもREPに選ばれなかったエントリーに関しても、個々に審査員からのフィードバックが行われました。この場は順位を競い合うことが目的ではありません。フィードバックを通じて、それぞれの応対がなぜ「おもてなし」に至らなかったのか、自社の品質基準とどのように異なるのか、そしてための今後の改善の可能性を探るきっかけとなったはずです。多くのヒントや気づきを得られ、自センターへ持ち帰っていただけたのではないかと思います。

午後のセッションでは、まずおもてなしREPに選ばれたコミュニケーターとの交流・意見交換設けられました。コミュニケーターは特にお客様の感情に寄り添うことを大切にしており、相手の状況を想像しながら応対することが重要だとお話しいただきました。日々の業務の中で直面するチャレンジについても触れ、どのようにそれを乗り越えているか共有していただき、また、得た知識や経験をチーム内で情報連携し、チーム全体のスキル向上に貢献したいと考えていることも明かしてくれました。


その後のセッションでは、auじぶん銀行 堀野 氏が「顧客のタッチポイント最適化と満足度の最大化」について講演しました。コロナ禍を契機に多様化した問い合わせ手段、電話、メール、チャットボットなどのチャネルを充実させることの重要性を教えていただきました。顧客の期待を超えるサービスを提供し続けることを目指し、さらなる改善と挑戦を続けることの意味について参加者へ伝えていただきました。

続いてパナソニックホールディングス 堂本 氏からは、創業者である松下幸之助の理念に基づいた「企業市民活動」についてお話しいただきました。貧困の解消に向けた取り組みや環境活動の紹介、そして従業員の意識向上を図るための仕組みなどの貴重なお話を伺うことが出来ました。

SCSK RegTech Edgeの山根氏からは、詐欺対策、特に金融機関における詐欺防止について解説をいただき、昨今は被害額が増加傾向にあり、特にSNSを利用した詐欺が急増していること、高度化したさまざまな詐欺の手口を具体的に学びました。参加者にとっても大変身近な話題であり、犯人の手口を理解し注意を払うことが大切さを得るよい機会となりました。


午後のセッション後半のワークショップでは、「生成AIをコンタクトセンター業務にどのように活用できるか」についてディスカッションを行いました。参加者は複数のグループに分かれ、自己紹介やセンターの概要を共有した後、生成AIをどのように自分たちの業務に適用できるかを考察。生成AIの具体的な活用例として、FAQの自動生成、オペレーター支援、VOCの要約、メール対応の文章生成などが挙げられました。活用にあたっての前提条件としては正確なデータの提供、プライバシーの保護、効果検証の必要性などがあげられ、各々のセンターに当てはめて考えたりと議論が尽きることはありませんでした。


最後のセッションでは、株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ ビジネスプロセスソリューション部 プロダクトマネージャー 中島氏より、感情解析を活用したオペレーター支援とセンター運営の効率化について、具体的な取り組みとその成果を伺いました。技術を活用してオペレーターの感情を可視化することで、心の健康を守り、成長をサポートするというユニークな取り組みでは、どこのコールセンターでも重要なテーマの一つとなっているオペレーターの離職率低下、SVの業務負荷軽減につながると聞き、参加者は皆熱心に耳を傾けていました。


フェスティバル終了後には、場所を移動しエントリー企業の皆さまやスポンサーの皆さまと懇親会を行いました。たくさんの皆さまにご参加いただき、終始賑やかで大変楽しいひと時となりました。ご参加いただいた皆さま、心より感謝申し上げます。

おもてなしが出来たコール

おもてなしが出来たコミュニケーター(おもてなしREP)として、1名が選ばれました。
また、敢闘賞は2名でした。

おもてなしREP井上 真奈美 様
(株式会社SBI証券)
敢闘賞田山 清香 様
(株式会社スカパー・カスタマーリレーションズ)

柳内 慶子 様
(株式会社コンシェルジュ)

(あいうえお順)

参加者の声

  • お客様とオペレーターの表情や状況が目に浮かぶコールだと思いました。相槌ひとつに感情をのせて話していらっしゃり、電話を切った後のフォローをされていらっしゃるくらいお客様の立場に立って話を進めていらっしゃるところが本当にすごいなと感じました。マネしたいと思うところがたくさんありました。ありがとうございました。(エントリー企業)
  • 寄り添い、感じ、並走するオペレーションを体現できていると感じました。併せて対応範囲に捉われず、できる事を言い訳せず対話することに集中する姿勢は見本にすべきと感じました。(エントリー企業)
  • ワークショップを通じて他社様の取り組みやコールセンターの在り方を知る機会になりました。(エントリー企業)
  • フィードバックを頂く機会がなかなかないので、とても貴重なアドバイスを頂けて嬉しかったです。また他のコールセンターの方と話す機会も無いので、参加できてよかったです。(エントリー企業)
  • 顧客のお困りごとを瞬時にすくい上げ、寄り添って対応されている所にやさしさとおもてなしを感じました。ゆったりと心地の良い間を保ってコミュニケーションされていてとても素晴らしかったです。お人柄が自然とコールに現れていらっしゃいました。(SV経験者)
  • コールセンター業界だけでなく、普段なかなかお話を聞く機会がない分野の話に触れることが出来、ありがとうございました。(一般参加者)
  • あらためて、「おもてなし」という観点で聞くことが出来ました。お客様に寄り添い、+αの応対が大変すばらしく思いました。(一般参加者)

審査所感

今年は5社、10コールのエントリーがありました。今年も基本的な応対スキルには概ね問題のない、レベルの高い音声のエントリーが目立ちました。特に、よどみなく流れるようにお客様との会話が進められているものが多く、驚きもありました。
おもてなしのできたコールが1本ありましたが、これまでにはない要素も含んだ応対でした。応対を聴き終わると、実にすがすがしく、お客さまからのあたたかい、心のこもった言葉が、じんわりと染み込むようなすばらしいものでした。
そして受賞されたおもてなしREPの真摯な顧客応対に対する姿勢、鋭い感性に心から感銘を受けました。このような素晴らしい音声、そして素晴らしい応対をしているオペレーターの方の話を聞ける機会はまずほかにありません。是非、会場にいらしていただき、その感動を共有していけたらと思います。また来年を楽しみにしております。

COC理事 大西美佳